追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
 ディオは、私の頭を優しく撫でると、守護獣とともに飛び出した。

「ムーン、空中で奴を攪乱してくれ! 奴がサーシャを離したらスピネが受け止めろ。あとは、ドラゴン! とどめを頼む」

 的確に指示を下すディオに、守護獣たちは従った。
 ムーンが空中で攻撃を開始すると、魔物は避けるため態勢を崩す。左右に揺さぶられたサーシャはスルッと魔物の爪から逃れ、落下したところをうまくスピネがキャッチした。
 魔物が、逃したサーシャに向かい突撃すると、大きな影が立ち塞がった。

「こいつめ! 私たちの友達になにすんのよっ! ぜーったい、ゆるさないから!」

 アメちゃんは魔物を掴んで頭上高く放り投げる。そして、自分も高く飛翔すると、空中で停止し大きく息を吸い込んだ。
 そうだった。ドラゴンが火を吐くのは定番中の定番。
 アメちゃんも例に漏れず、特大の火炎砲を魔物目掛けて吐いたのだ。
 火炎砲を浴びた魔物は、一瞬のうちに灰になる。しかしその瞬間、魔物はこちらを見た……。
 そして、ある言葉を残した。
「……セイジョ……ハッケン……」

 なにを言っているのか、すぐにはわからなかった。
< 180 / 275 >

この作品をシェア

pagetop