追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
「山賊風情が偉そうに。まあよいわ。私はファルナシオンの騎士隊長ガノン。ここにいる聖女、ララ・レダー・カレリアスを連れに来た。彼女はファルナシオンの祝祭に必要な者。さっさと出せ」
心臓がドクンと音を立てた。今聞こえたのは、忌まわしき称号と捨てたはずの名前。私の中の仄暗い過去が一気によみがえり、一瞬眩暈がした。
「誰だそれは。知らないな、ここにはいない」
ディオは知らぬ振りをした。本名全てを名乗ったわけではないけど、ララという名前を聞いて、知らないと即答するはずはない。普通は少し考えると思う。
庇ってくれたのか……それとも他の理由があるのか。ディオの思惑がわからず、私は会話に耳を傾けた。
「ふふ。無駄だぞ? 先程斥候から発見したと連絡があったのだ。おとなしく渡すならば、褒美を考えてやってもよい」
「褒美など要らない。それよりも、いつからファルナシオンは魔物などを斥候に使うようになったのかな?」
「魔物? そんな話は聞いていないが……まあ、何にせよ貴様には関係ないことだ。さて、どうしても渡さぬというのなら……」
騎士隊長ガノンが剣の柄に手をかけたその時、静かな声が居住区に響いた。
心臓がドクンと音を立てた。今聞こえたのは、忌まわしき称号と捨てたはずの名前。私の中の仄暗い過去が一気によみがえり、一瞬眩暈がした。
「誰だそれは。知らないな、ここにはいない」
ディオは知らぬ振りをした。本名全てを名乗ったわけではないけど、ララという名前を聞いて、知らないと即答するはずはない。普通は少し考えると思う。
庇ってくれたのか……それとも他の理由があるのか。ディオの思惑がわからず、私は会話に耳を傾けた。
「ふふ。無駄だぞ? 先程斥候から発見したと連絡があったのだ。おとなしく渡すならば、褒美を考えてやってもよい」
「褒美など要らない。それよりも、いつからファルナシオンは魔物などを斥候に使うようになったのかな?」
「魔物? そんな話は聞いていないが……まあ、何にせよ貴様には関係ないことだ。さて、どうしても渡さぬというのなら……」
騎士隊長ガノンが剣の柄に手をかけたその時、静かな声が居住区に響いた。