追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
「すまないな、ガノン。未熟なお前を置いて逃げるのは心苦しかったが、それも、ディオ様とヘンルーダ様をお守りするため。ここで、時期を待ち、仲間を募り、力を蓄え、ファルナシオンに巣くう悪を倒すことこそ私たちの使命なのだ」

 諭すようにウーノが言うと、ガノンと騎士たちは一様に放心した。
 剣の柄から手を離していることから、戦う気力は失われているように感じる。会話の内容から推測すると、ウーノはガノンたちの元上司で前騎士隊長。かなり部下から尊敬されていたみたいだ。

「どういうことか、ちゃんと説明してもらえますか? あなた方のことや、このファルナシオンに巣くう悪についての真実を!」

「わかっている。その前に、きみたちに紹介しよう。俺たちの希望の星を」

 ガノンの問いに答えたディオは、後ろの茂みに隠れた私を振り返り、手招きした。
 希望の星って呼ぶの、やめてくれません? めちゃくちゃ出にくくなるんですよね。
 それに、自分を攫いに来た相手がいるのに、素直に出て行くのも怖い。今は従っているけど、いつ気が変わって剣を抜くかわからないもの。
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