追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
「では説明しますね。光線を発する、と言いましたが、これは周囲を明るくするためのものではありません。闇夜を照らすものではないことを頭に入れておいて下さい。あと大事なことは、直接光を見たりスイッチを入れて人に向けたりしないこと。目を傷める場合がありますからね。魔物に向ける以外では使用しないで下さい」

「なかなか、取り扱いが難しいものなのだな」

 ディオが言った。彼はウーノと同じく不思議そうな顔をしていたけど、説明を聞いて緊張した表情になった。
 説明の仕方が悪かっただろうか。単なるブラックライトが、とてつもなく危ない武器だと思われている気がする。

「もっと軽く考えて下さい。向けていいのは魔物だけ!と覚えればいいんです」
「向けていいのは、魔物だけ……?」

 ディオとウーノは、その言葉を呪文のように唱え始めた。男がふたり、ブラックライトを見ながら同じ言葉を熱心に呟いているなんて、異様にもほどがある。そんな光景が暫く続いたあと、ディオが爽やかに言った。

「よし、覚えた。向けていいのは、魔物だけ、だな! 悪魔が魔物を召喚したら使おう」
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