追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
「ええ。効かなかったら、魔物にぶん投げてやってもいいですよ」

「へえ。そんな使い方もあるんだな」

 すごく真面目にディオが言ったので、ウーノと私は噴き出してしまった。
 冷静なディオが真剣に私の冗談に返す様は、和やかな雰囲気をもたらし、殺伐とした決戦準備が少しだけ楽しいものに感じられた。

「そういえばディオって剣は使えるのですか? あまり得意そうには見えないのですけど」

「心外だな。得意そうに見えないって、俺はそんなに弱そうか?」

「え、えっと……」

 ディオが悲しそうな瞳をこちらに向けたので、私は口ごもった。
 得意そうに見えないと言ったのは、彼があまりにも美しく気品に満ち溢れているので、剣を持ち鍛錬するイメージが湧かなかったから。どちらかというとインテリタイプで、初めて会った時も、山賊らしくないと思ったのだ。

「ララさん、ディオ様は毎日私と剣の稽古をしております。剣の腕前はもう私を軽く越えるほどなのですよ。こう見えてもね」

「ウーノ、一言多いぞ……うん、まあそういうことだ。ファルナシオン元騎士隊長のお墨付きは貰ってある。安心していいぞ」
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