追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
「そろそろです。準備はよろしいか?」
ガノンが馬で下がりながら言った。すでに王宮は目の前で、正門に誰かがいる。見たことのある風貌のその人は宰相ネビロスだ。
「ああ、準備は出来ている。悪魔め、聖女の帰還をお出迎えか。嬉しくてたまらないらしいな」
「ええ。まさかここまで出てくるとは。殿下、ララさん。十分お気を付け下さい」
ガノンはまた前方に戻り、正門まで駆けると、颯爽と片手を上げて隊を止めた。
「ご苦労でした、騎士隊長ガノン。それで聖女ララ様は……ああ、そちらでしたか! よくぞファルナシオンへ帰って来てくれました!」
宰相は騎士団への労いもそこそこに、私のところに寄って来た。ニコニコと機嫌が良さそうな彼は、まず謝罪を口にした。
「大変申し訳ありませんでした。ナタリア・カレリアスにそそのかされ、アンセル殿下が間違った判断を下してしまいまして。本物の聖女様を追放するなどあってはならぬこと。その慈悲深いお心で、どうか許して下さいませ」
手を差し伸べる宰相に、一瞬躊躇してしまった。だけど、後ろにディオの熱を感じ、勇気を奮い起こして手を取ると馬を降りた。
ガノンが馬で下がりながら言った。すでに王宮は目の前で、正門に誰かがいる。見たことのある風貌のその人は宰相ネビロスだ。
「ああ、準備は出来ている。悪魔め、聖女の帰還をお出迎えか。嬉しくてたまらないらしいな」
「ええ。まさかここまで出てくるとは。殿下、ララさん。十分お気を付け下さい」
ガノンはまた前方に戻り、正門まで駆けると、颯爽と片手を上げて隊を止めた。
「ご苦労でした、騎士隊長ガノン。それで聖女ララ様は……ああ、そちらでしたか! よくぞファルナシオンへ帰って来てくれました!」
宰相は騎士団への労いもそこそこに、私のところに寄って来た。ニコニコと機嫌が良さそうな彼は、まず謝罪を口にした。
「大変申し訳ありませんでした。ナタリア・カレリアスにそそのかされ、アンセル殿下が間違った判断を下してしまいまして。本物の聖女様を追放するなどあってはならぬこと。その慈悲深いお心で、どうか許して下さいませ」
手を差し伸べる宰相に、一瞬躊躇してしまった。だけど、後ろにディオの熱を感じ、勇気を奮い起こして手を取ると馬を降りた。