追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
エピローグ
 辺境グリーランド村。

 ファルナシオンがソラスの領土になってから、グリーランドはそう呼ばれるようになっていた。
 フェイロンの計らいで、グリーランドは特別区のようなものになり、どこの国にも属さず、どこの国とも争わない「中立国」として存在している。
 あの月蝕の夜から、グリーランドは少しずつ変化している。
 まず、人口が増加したこと。
 ガノンたち騎士団とカレリアス家が移住してきたのだ。
 ガノンはソラス正規兵への登用を断り、ディオとヘンルーダ、ファルナシオン最後の王家と共に生きる道を選んだ。それに他の騎士たちも追随したのである。
 カレリアス家も同様に、私がいるグリーランドに住むことを選んだ。
 それは、失くした年月を取り戻したいという家族の後悔の証である。私は家族の本当の気持ちを知った時から、とうにみんなを許している。それでも、彼らにとっては、幼い私の心に深い傷を残したと思ったようで、なんとか償いたいと考えたようだ。
 自らの意志で移住するものもいれば、そうじゃない者もいる。
 ソラス側が一番困ったのは、王子アンセルの処遇だ。
 自分が知らない間に国が無くなり、ソラスに占領されていたと知ったアンセルは、情けなくも大声で泣き喚いたらしい。
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