追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
 困ったソラス王は、星見の塔のフェイロンに相談した。すると彼は、星見の塔に連れて来いと、言ったそうだ。
 訳も分からず連れていかれたアンセルは、星見の塔に放り込まれ、あの鬼のように忙しい部署で、日夜、雑用をして過ごしているという。
 彼にはもう、帰る国もなく、守ってくれる者もいない。
 でもそうなってこそ初めて、人は優しさを知るのだと思う。私がそうだったように、アンセルも光を見出すことが出来ますように。
 と願わずにはいられない。
 
 人も増え、新たな出発をしたグリーランドでは、今日新たな施設が稼働する。
 建設途中だった温泉施設が完成したのだ。
 前よりも規模を拡大して男湯と女湯に分け、簡易テントで覆っていただけの外壁を、きちんと木材で造り屋根をつけた。ついでにサウナも併設して、みんなが寛げるように、ごろ寝ゾーンも確保した。
 あれもこれもと付けていくと、建物はだんだんと大きくなり、結局、複合型温泉リゾートが完成したのである。

「温泉温泉―。あー楽しみだわー」

 マイアが夢見るように呟くと、

「おんしぇんおんしぇん、あーたのちみー」

 サーシャが可愛く繰り返す。
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