追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
 温泉施設ロビーは利用客で一杯だ。
 とにかくお湯に浸かりたいマイアは温泉に、ウーノはサウナに。
 グレイスはなぜか温泉に入る前にごろ寝ゾーンで転がっていて、ヘンルーダはマッサージチェアで歓喜の叫びを上げている。みんなそれぞれの楽しみ方で温泉を満喫している。私も温泉に浸かろうかな、と考えていると、後ろから特徴のある大声が聞こえた。

「ララ! 来てやったぜ」

「あ、宮様! いらっしゃいませ。アルメイダさんもようこそ!」

 実は初稼働に当たって、フェイロンたちを招いていた。
 今回はフェイロンの助けなしでは無理だったことが多い。
 ファルナシオンの人々の移動や、暦の特別版の作成。
 その上、ファルナシオン北の祭壇、魔王封印の魔法陣を、誰の目にも触れないように大岩で塞いでくれたのだ。大岩にはソラスの祈祷師による封印の呪法を施し、ファルナシオンの封印と重ね掛けすることにより、以前より格段に強固なものとなっている。
 そのお礼に、招こうとディオと決めたのだった。

「申し訳ありません、私まで。遠慮したのですが、フェイロン様がひとりでは心許ないようで」

「は? そんなことねえよ。全然平気だよ」
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