追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
 強がるフェイロンに、淡々としたアルメイダ。フェイロンと付き合いが長い彼女は、扱い方も超絶うまい。

「それは失礼いたしました。で、ララ様、温泉なるものはどちらに? 聞くところによると、浸かると玉のような肌になるとか」

「そうなんです! 一度試しで浸かってみたら、もうツヤツヤのツルツル。疲れも取れて最高ですよ」

「まあ! それはすぐに浸からなくては!」

「なんだよ、お前そんなに肌が気になるのか?」

 フェイロンがアルメイダに尋ねた。

「ええ。どこかの誰かさんが我儘を言うから、イライラして肌が荒れるんですよ」

「それ、わたしのことではないだろうな……」

 恐々と尋ねるフェイロンに、アルメイダは冷ややかに微笑んだ。
 十中八九そうだと思うよ。
 星見の塔では、今、アンセルも預かってくれている。宮様に加えて、アンセルも指導しているなら、アルメイダの苦労は相当なものだろう。疲労も溜まるに違いない。
 今日は温泉に浸かってゆっくりしていってもらおう。
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