追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
「そ、そうなのですね、では、お願いしてもよろしいですか? 出来たらフェイロン様と色違いの物を……」

 恥ずかしそうにお願いするアルメイダに、私は萌えた。キリリとした美女もいいけど、もそもそと頬を染める美女もなかなかよい。

「いいですよ。じゃあ、創っておきます。どうぞ、宮様とサイクリングをお楽しみ下さい」

 どんと胸を叩くと、アルメイダはとても嬉しそうに頷いて女湯に入って行った。
 ディオが緑でフェイロンが黄色。私の愛機がシルバーなので、アルメイダは情熱の赤にしておくかな。きっと美人な彼女に似合うと思う。
 ポケットに詰めた宝石を取り出し、創造魔法を使う。そして、赤色の自転車を創り出し、そっとロビーの脇に置いて「アルメイダ」という名札を付けておいた。
 それから私は、ディオを探して温泉施設を出た。
 せっかくの温泉初稼働だというのに、肝心の「お頭」がいない。なぜかディオの姿を朝から見ていないのだ。
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