追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
「ララ。ずっと考えていたんだけど……」

 ん? とうとう言う気になったのかな。
 心を決めたようなディオの表情を見て、私も聞く態勢を整える。

「はい。なんでしょう」

「……旅に出ようと思う」

「旅、ですか……」

 思いがけない告白だった。
 だけど、考えられない答えじゃない。ずっとグリーランドで潜伏生活をしていたディオが、全てが終わって世界を見たいと思うのはごく自然なことだ。

「素敵ですね。今まで動けなかった分、大きな世界を存分に旅するの、いいと思います」

「うん。グリーランドはとても住みやすくなった。もう俺が心配する必要はないだろう。だから、今、世界を見て見聞を広めたい」

 語るディオの目はキラキラと輝いていた。彼の心はもう世界に向いていて、ここではないどこかにある。
そう思うと、少しだけ……いや、かなり寂しくなった。
 でも、そんなことは言わない。ディオの新たな旅路を邪魔したくないから。

「はい。グリーランドは私たちに任せて下さい。ディオが帰って来るまでしっかり守りますから」

「一緒に行かないか?」

「え?……えっ? 一緒に?」

 予期しない提案に、一瞬頭が真っ白になった。
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