追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
「ああ、愚かなる妹よ。英明なるアンセル王子は、罪深い嘘に気付かれたのです。創造の魔法の使い手は、お前でなくこのわたくしだと!」

「えっ……」

 一瞬、言葉を失った。ナタリアの言ったことが理解出来なかったのだ。
 そんな私に追い打ちをかけるように、アンセルが責める。

「ナタリアの創った物を、自分が創ったように詐称したのだろう?」

「そんな! 違います! 私は、私は本当に創造して……」

「ではここでそれを証明出来るか?」

「もちろんです」

 急いで寝台脇の箪笥に行き、一番上の抽斗を開け小箱を取り出す。その中には、私が創造で使う宝石類がしまってあった。大小様々な宝石は、王宮より与えられたものである。開けて血のように赤い宝石をひとつ取り出す。
 とりあえず、花瓶でも創って疑いを晴らそう、と思い、いつもと同じ過程で創造してみた……のだけど。

「な、なんで……? どうして?」

 赤い宝石は、宝石のまま。どこからどうみても花瓶ではなかった。

「ほら見ろ、嘘つきめ」

「いいえ。本当に私……」
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