追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
 確かに、私にもやむにやまれぬ事情がある。誰にも言えないし、言うつもりもないけど。
 もう話題を変えよう。ディオもこの話を避けたいみたいだし。

「そうですね。あっ、そこに人が集まっていますね。なんでしょうか」

 ふと目を向けた広場に、数人の男がたむろしていた。よく見ると、さっき私たちとひと悶着起こした男たちだ。彼らは、ディオと私を見つけると、駆け寄ってきた。

「お頭、周囲の見回り終わりました」

 言ったのは、私を掴んだ大男だ。

「うん。ありがとう。そうだ、ララ、彼らの紹介をしておこう。後ろの右がライル、隣がサイクス。で、左がオットだ」

 ライルとサイクスはきちんと姿勢を正して頭を下げた。最後に紹介されたオットは、私の頭を射抜こうとした青年である。オットに悪気はなかったにしろ、なんとなくモヤモヤする。すると、オットはそんな私のモヤモヤを吹き飛ばすような行動をとったのだ。

「ララ様! 大変申し訳ありませんでした! お頭の大事な人だとは知らず、矢を放つなんて。もう、僕は、死んでお詫びしたい」
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