追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
 耕運機と整地をウーノたちに任せ、今度はキャンプ組に合流する。キャンプ組はヘンルーダを筆頭に女性たちが、テント建てに悪戦苦闘していた。

「ああん、もう! これ、どこの紐? 難解すぎて全然わからないわー」

「鉄の杭? これでなにを刺すのかしら」

「ちょっと、こらっ。サーシャ! その布返しなさい!」

 そこには阿鼻叫喚の地獄絵図が広がっていた。グレイスは紐を片手にオロオロし、ヘンルーダはテントを固定するペグを持ち、振りかざしたりしている。マイアはテントでお化けごっこをするサーシャを追いかけ、へとへとだ。
 うーん……やっぱりこうなったか。まず、サーシャのお守りを呼び出してから説明だわね。
 私が守護獣たちを呼び出すと、気付いたサーシャがテントを放り出し駆け寄って来た。

「わあーい、みんな、あそぼー」

 アメちゃんの手を引き、スピネの頭を撫で、ムーンを肩に乗せたサーシャの楽しげな声が響く。
 ひとりと三匹はわちゃわちゃと言いながら、洗濯機の近くで追いかけっこを始めた。

「はあ……やっと取り返したわ……」

 疲れた顔のマイアは、しゃがみこんでふうと息を吐いた。
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