かぐわしい夜窓
最近は、おつとめや楽器の練習、勉強を終えたら、庭の散歩をする。


歴史や情勢はどんどん抜け落ちたり変わったりしていくので、定期的に勉強しておかないと怖い。

運動しないのも怖い。


というわけで、優雅さを意識しながら、神殿の内外を歩き回ることにしている。


「歌まもりさま、散歩に行きます。よろしくお願いします」

「はい」


初めの頃、行ってもいいですか、と聞いたら、私の許可を取る必要はありませんと返されたので、宣言することにしている。


歌まもりさまは歌うたいと対等の立場だけれど、歌うたいのやることをやめさせる権利は持たない。いさめる程度しかできない。


わたくしはたとえ歌まもりさまからいさめられても散歩に行くし、彼は散歩をいさめるようなひとではないし、確かに許可を取る必要はないとわかったのだった。

歌まもりさまの仕事の都合上、聞かれても困るだろう。
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