かぐわしい夜窓
2
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巫女は年に一度、王族の前でおつとめをする。年に一度のお披露目と言い換えてもいい。
国境で毎日展開する陣を見れば、巫女がきちんと役目を果たしているとすぐに分かる。
これは、巫女を誠実でいさせるための儀式ではなく、王族を誠実でいさせるための儀式。
巫女の力、神の御威光を見せることで、王族や国が巫女を大事に扱うようにする。
巫女が歌い祈ると、聖堂いっぱいに柔らかな光が満ちるのだ。きちんと言葉に合わせてあって、神の御意志であることは明白だった。
豪奢な衣装に身を包んだ巫女を、いつものように「お似合いです」と褒めると、いつもなら微笑む巫女は珍しく唇を結んだ。
「ありがとう、ございます」
「どうされましたか」
淡褐色の目が揺れている。
「……笑わないでくださいね。わたくし、不安なのです」
何度やっても、慣れなくて。
震える声でこぼす巫女のお披露目は、今年でもう三度目になる。
巫女は年に一度、王族の前でおつとめをする。年に一度のお披露目と言い換えてもいい。
国境で毎日展開する陣を見れば、巫女がきちんと役目を果たしているとすぐに分かる。
これは、巫女を誠実でいさせるための儀式ではなく、王族を誠実でいさせるための儀式。
巫女の力、神の御威光を見せることで、王族や国が巫女を大事に扱うようにする。
巫女が歌い祈ると、聖堂いっぱいに柔らかな光が満ちるのだ。きちんと言葉に合わせてあって、神の御意志であることは明白だった。
豪奢な衣装に身を包んだ巫女を、いつものように「お似合いです」と褒めると、いつもなら微笑む巫女は珍しく唇を結んだ。
「ありがとう、ございます」
「どうされましたか」
淡褐色の目が揺れている。
「……笑わないでくださいね。わたくし、不安なのです」
何度やっても、慣れなくて。
震える声でこぼす巫女のお披露目は、今年でもう三度目になる。