かぐわしい夜窓
「巫女さま、なにか、お困りごとはありませんか」
「いいえ、ちっとも」
聞き慣れた確認に、その日ばかりは続きがあった。
「それはようございました。では、なにかご入用のものはございませんか」
「ええと」
「普段使いするもので構いませんので、なにかありましたらお教えください」
「絶対ですか」
「ええ、できれば」
ものすごくはっきり頷かれる。
「巫女さまは倹約家でいらっしゃる。大変喜ばしいことですが、いろいろな予算が余っております」
「は、はい」
「そうすると、前の巫女がこのくらいだったのだからと、次の巫女さまも同じような予算を組まれることになります。よほどの倹約家の方でない限り、その方がお困りになる可能性が……」
「えっ」
確かに、お金はもったいないから使わないようにと思っていた。使いすぎより、使わない方がいいだろうと思っていた。
でも、まさか、そんな弊害があったなんて。
ひとさまにご迷惑をおかけするのは避けたい。それはまずい。
「いいえ、ちっとも」
聞き慣れた確認に、その日ばかりは続きがあった。
「それはようございました。では、なにかご入用のものはございませんか」
「ええと」
「普段使いするもので構いませんので、なにかありましたらお教えください」
「絶対ですか」
「ええ、できれば」
ものすごくはっきり頷かれる。
「巫女さまは倹約家でいらっしゃる。大変喜ばしいことですが、いろいろな予算が余っております」
「は、はい」
「そうすると、前の巫女がこのくらいだったのだからと、次の巫女さまも同じような予算を組まれることになります。よほどの倹約家の方でない限り、その方がお困りになる可能性が……」
「えっ」
確かに、お金はもったいないから使わないようにと思っていた。使いすぎより、使わない方がいいだろうと思っていた。
でも、まさか、そんな弊害があったなんて。
ひとさまにご迷惑をおかけするのは避けたい。それはまずい。