かぐわしい夜窓
え、あれ? なんかすごいことを言われた気がする。


あれ?


「あ、り……がとうございます」

「娯楽費のよい使い道が決まったと係の者に伝えておきますね。もし染められたら、ぜひ私にも見せてください」

「えっ、あ、はい……! 見せます!」


混乱しながら頷いた。選んでもらったのだから、もちろん見せます。お礼を言いたいもの。


「巫女さま」

「は、はい」

「残り、七年……もうすぐ六年ですが。どうぞ、よろしくお願いいたしますね」

「えっ、あの、よろしくお願いします……?」


なんで突然挨拶されたんでしょうか。


ぐるぐる目を回していると、歌まもりさまがにっこり笑った。


「娯楽費で購入なさるということは、これからも、私の選んだ色を身につけてくださるということでしょう」


楽しみにしておりますね。


「っ」


言葉に詰まって、うつむいて。顔が熱くて。


「ゆ、夕べの祈りに行きたいと思います……! お供をお願いいたします!」


もはや、無理矢理話題を変えることしかできなかった。


……年上ってすごい。
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