かぐわしい夜窓
「年齢も二十歳以上と決まっているのですよ。いざというとき、年下や同い年よりは、年上の方が頼りになるだろうということのようです。私は友人ではなく、盾ですので」

「なるほど……」

「珍しい外見の者も外されます。巫女さまのおそばに控えることが多い歌まもりが、巫女さまより目立っては、巫女さま、ひいては神のご威光に傷をつけかねませんので」

「歌まもりさまは、茶色の髪だから選ばれたのですか?」


歌まもりさまは、濃い茶色の髪に、すみれ色の目をしている。


わたしは赤みがかった茶色の髪に淡褐色の目だから、わたしがそばに並ぶと、髪はともかく、歌まもりさまの方が目は目立つような気がする。


というか、造形が。もはや顔のつくりが違う。


歌まもりさまは端正な顔立ちで、たとえ平凡な色をしていたって、どう考えてもわたしより目立つに決まっている。


騎士になるような心の立派な方は、みなさん整ったお顔なんだろうか。周りに控えている騎士のひとたちは、みなさん揃ってかっこいい。すごい。

そのなかでも、歌まもりさまは、一段と整っていると思うけれど。


きれいなお姫さまが巫女になるかもしれないって基準で平凡に見えそうなひとを選んだから、わたし基準だと歌まもりさまの方が麗しく見えるとか……?


ぐるぐる考えるわたしに、歌まもりさまは穏やかに続けた。


「なにより大切なのは、独身であることです」
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