かぐわしい夜窓
5
いつものように明かりを消しにきた歌まもりさまを引き留める。


「わたくし、明日には二十五になります」

「はい」

「次の巫女の担い手が見つかれば、お役目は終わり。……夢のお告げで、次代を探すのでしたね」

「はい」


神が、選んだ巫女の名を教えると、初めに聞いた。わたくしもそうして選ばれた。


「わたくしは普段、夢を見ません。いいえ、見るのかもしれないけれど、覚えていたことがありません。……大丈夫でしょうか」


悪い予感がする。


最後だと思ってどきどきしていたからかもしれないけれど、今日は化粧筆やカトラリーやいろいろなものを落としたし、一部声がうまく出なかったし、天気が悪かった。


黒雲が立ち込める空が最後を飾るなんて、おどろおどろしいというもの。


「きっと大丈夫です」

「……そうだと、いいのですけれど……」


その晩、夢に、お告げはなかった。
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