嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
――――長いものには巻かれろ――――
これは異世界転生を果たした私の信条である。
風にそよぐ緩やかなウェーブの桃色の髪に、日に当たると空色となるが、普段は落ち着いた藍色の瞳を持つ私、リアリム・ミンストンは今日もイザベラ・スコット公爵令嬢の招きを受けて、お茶会に参加している。
正直、つまらないけれど、私には大切な役目がある。
「イザベラ様、今日も輝くような金色の髪が、とても麗しいですわ。ドレスもドレープがたっぷりで、素晴らしいです。ほんと、美しすぎてため息しか出ないですわ」
「ほほ、リアリムさんも、我が家でのお茶会を楽しんでくださいね」
ほっ、良かった。今日は名前を呼んでいただけたわ。機嫌が悪いと、まるっきり無視されるからな~
にっこりと微笑むイザベラ様に、私もにっこりと微笑みを返しながら、今日も作り笑いを顔に張り付ける。
スコット公爵家のお茶会に招かれなくなったら、社交界では生きていけない。社交界で生きていけないと、優良結婚相手と出会えない。というのが、今年18歳となった私の現実である。
特に今日は、殿方も来られる昼間のお茶会だ。伯爵家のことを考えると、やはり優良物件の独身男性貴族と出会う必要がある。今日も頑張らねば。
といっても、今日もイザベラ様のご機嫌伺いかな?
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