嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
 腰ぎんちゃく仲間のサリエル嬢、いつもホットな情報をくれるありがたい友達。

 良かった、王宮でのお茶会は×、っと。万一聞かれても、「私は招待されていません」が正解の答え、っと。

 私の中にあるイザベラ様ノートに書きこむ。万一イザベラ様の地雷を踏むと、しばらくは社交界に顔をだせなくなってしまうから。あぁ、恐ろしい。

 でも、あの第一王子にご執心とは、確かに、先日の夜会で見かけた彼は、とても眉目秀麗な貴公子だった。

 遠いところから見ただけだけど、夜会のシャンデリアの光を受けてキラキラと光る長いストレートの銀髪と、アメジストのような紫の瞳が特徴的な、クールで美しい王子様だ。

 留学していた先からは、優秀な成績で帰国されたと聞く。

 会話するような機会も、共通の知り合いもいないから、遠目で見ただけ。それでも憧れる令嬢が続出するのはよくわかる。

 ま、私には関係のない話だわ。第一王子なんて将来の王太子、ゆくゆくは王様だなんて。うう、近寄りたくもない!

 そう、私は外見はちょっと派手だけど、平凡な生活がしたい普通の令嬢なのだ。オール庶民のニホンに生きた私にとって、「平凡」こそが一番なのである。

「あ、ほら、イザベラ様が会話されているわ。早くいかないと。リアリムさんも、行きましょ」

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