無題

Really?

碧の額にキスをした。
ただ、それだけで罪悪感に浸る。
遥が傷つかないように、碧が傷つかないように、
大切なのはどっちもだから、だから、遥と別れた。
なのに、俺はいつまでたっても、どんなに別のことを考えても、好きなサッカーをしても
頭の端っこにいるのは、遥。
どうしても、忘れられない。
幸祐に殴られたところと胸がズキリと痛む。

体育が終わる頃、話があるから着替えたら待ってるからオレについて来いと言われた。
幸祐が、遥の事好きなのはだいぶ前から知ってた。
だけど、アイツ、周りには敏感なクセに自分の事になると
鈍感だから幸祐の気持ちなんか気付いていないらしい。
どうせ、遥の話だろう。だからゆっくり着替えて更衣室から出ると待ちきれなかったらしく
すぐ、近くの廊下のカドで話始めた。


『遥と別れたんだよな』
『ああ、』
『お前、それ、転校してきた三浦碧って奴のためなんだろ。』
『何で分かったんだよ、』
『遥と別れるタイミングが良すぎるんだよ。お前が三浦に対する態度と、三浦がお前を見ている視線で分かる。』
『さすが、恋するこうちゃんだな』
『、オレは真面目に話してんだ、真面目に聞け』
『分かってるよ。』
『碧の為、遥の為に別れたってお前、本当かよ、』
『俺はこうするしかなかったんだよ。しょうがないだろ』
『なっ!』
『仕方ない事だったんだよ』
『お前はまだ中2だぜ?まだそんな早く決めなくても・・・』
『お前にはわかんない事だよ』
『・・・っ!!お前、遥がどんな想いでいるか分かってんのかよ!!』


そう怒鳴られ、1発殴られた。
顔を真っ赤にした幸祐は「悪ぃ、でも、オレお前の事許さなねぇから」と、言った。
幸祐の怒鳴り声で駆けつけた生徒指導の中井先生が、俺達に気付き、
とりあえず俺は保健室行き、幸祐は職員室行きになった。
幸い、幸祐の怒鳴り声は「――分かってんのかよ!」という所だけだったから、
俺達の話はサッカーで喧嘩した事になっている。
幸祐が職員室でそういっていたから、俺もその話にあわせた。

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