無題
中2で、なんか恋愛とかそういうのは俺には良く分からない。
額にキスするのは碧だけで、幼稚園の頃からあいさつとか、
碧が落ち着くのが分かったから、碧が不安そうな顔をするといつもしてきた。
そこまで俺は大人じゃない。
恋愛感情ってどういうかなんて分からない。
いろんな所まで進もうとも思わない。
だから、本気で好きな人は恋愛感情が分からない限り作れないと思ってた。
だけど、遥は本気で好きになってた。
理由なんて分からない。
でも、中1の時初めて遥を見たとき、さびしそうな顔をしていた。
それに気付いたのは晴菜と俺だけで、入学式で一人寂しく空を見ながら机に座っていた遥に話しかけたのは俺と晴菜しかいなかった。
最初、遥は俺と晴菜を疑う顔をしながら、作り笑いで話を流したり、
忙しいからという嘘で俺達から逃げてたりした。
そんな風にする遥をみて、ああ、コイツ小学校の時なんかあったんだろうなって思った。
小学校生活を孤独で味わってきたんだろうなって思った。俺とは正反対で、
だから守ってやりたいと思った。
心開いてやりたいって思った。
たまたま晴菜と同じ小学校だったから、最初は一緒に下校したりした。
最初は嘘をついて逃げていた遥も、毎日声をかけていたら、一緒に帰ってくれるようになった。

少しして、心を開いてくれるようになって、
本気で笑った顔とかは綺麗な顔をして、見せなかった仕草とか見てて、
さりげないやさしさとか、他人には持っていないようなものを持っていて、
初めて、本気で好きだと気付いた。
本当に俺にも、クラスの奴らにも持っていないような光を持っていて、
なんでコイツこんな優しい奴なのに小学校の頃寂しい思いをしてきたんだろうって思った。
だけど、俺は碧を守る約束をしていて、碧を裏切ってはいけないと思い、自分の想いを伝えられなかった。

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