無題
だけど、じめじめとし始めた、中学校生活2年目の夏。
碧が退院して、日本に戻っていくると聞いたとき、
俺は何してんだ、と気付いた。
碧を守ると約束したのに、俺は遥が好きになった。
また、俺は碧を傷つけるのか?
また、碧に辛い思いをさせるのか?
迷った。どうすればいいか迷った。
どちらも傷つけずに、いられる方法を、ずっと考えた。
そして、悩んだ末、俺は遥と別れることを考えた。
それが一番傷つかない方法だった。
遥と付き合ったまま、碧と会ってしまったら、碧が傷つく、そして遥も傷つく。
遥と別れてしまえば、碧は傷つかず俺は碧を守る事が出来る。
遥は傷ついてしまうけれど、晴菜が傷を癒していつか俺を忘れてくれるだろうから、
一番いい方法だと思った。
碧は、心臓が弱い、だから無理をさせたくないと思った。
俺が守らないと思った。
だから遥を手放すしかなかった。
俺もいつか遥を忘れることができるだろうと思っていた。
きっと幸せになれるだろうと考えてた。

だけど、俺はどうしても忘れられなかった。
正直キツかった。
遥がこんなに俺と離れていると思うと、苦しくなった。
遥が、俺の目を見なくなったことに気がつくとまた苦しくなった。
そして、また碧と遥が仲の良い友達だと知ったときも苦しくなった。
だから思わず今日の体育の時間に遥に触れてしまった。
碧が近くにいたのに。おもわず声をかけてしまった。
< 21 / 23 >

この作品をシェア

pagetop