無題

碧がアメリカへ行って手術をした。
だけれど、移植しても再発の繰り返し、原因不明の病だった。
臓器が機能しなくなる病気。
最初は心臓だった。そして今度は肝臓。そして次は肺。
内臓が次々に機能しにくくなる病だった。
治る見込みは、ゼロ。
体力的にも、精神面的にも心臓移植だけで碧は限界だった。
どうせ手術に成功しても、結局は長く生きれない。
碧はそれを知って、最後の人生を楽しんで、誰かの記憶に残ったまま死にたいと言い出したんだ。
実際これを知っている奴はいないと碧は思っている。
だけど、久しぶりにあった碧の母さんから聞いた。
小学生のときに会ったころとは違って、強くなった、という感じだった。
なんとなくだけれど、そんな気がした。
涙を流さず、苦笑いで、淡々と話し終わると碧の母さんは、

『お願い、あの子を、碧を少しでも幸せにして』

と手を握られて言われた。

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