無題
「あっちーねぇ!」

更衣室に行く制汗スプレーの匂いが一気に充満した。
いいにおいのもあったけれど混ざってくさい、


「うん、あっつーあの体育教師め!いつかサボってやる!」
「あんたたち真面目にやんなさい!」
「みどり、最近おばちゃんだよー」
「えっうそ!」
「あはは!」


ふざけあいながら制服に着替えて更衣室を出た。
ふわっと風が入り込んで気持ちよかった。
しかし、こそこそと声が聞こえて、その声に耳を澄ましてみた。


『お前、本当かよ、』
『俺―――う――ないだろ』
『――!』
『仕方――事だっ――だよ』
『――中――ぜ?まだ―――な早―――くても・・・』
『お前―――んない――だよ』
『・・・っ!!』


「遥?」

澄ましていた音から晴菜の声で普通の音へかわった。
更衣室の扉の前から動かない私を不思議に思ったのか思わず声をかけたんだろう。
私は「なんでもなーい!」といって碧と晴菜の元へいった。
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