天才的ドクターの純愛〜封印したはずの愛する気持ちを目覚めさせたのは二十歳の彼女だった
俺にも連絡が入り、外来を他の先生に任せて病院中をくまなく探した。

「大我、真由香は屋上にいた」

「えっ」

最上からの連絡で、屋上に急いだ。

「真由香、どうした、危ないからこっちに来い」

俺が屋上に駆けつけた時、思いもよらない状態になっていた。

真由香は病院の屋上の柵を乗り越えていた。

その真由香に必死に声をかけていたのが最上だった。

俺は訳が分からず、でも真由香が危険な状態だということだけはわかり、真由香に近づいた。

「来ないで、それ以上近づいたら飛び降りるから」

「何を言ってるんだ、ちゃんと説明してくれ、真由香」

俺は真由香の言葉に一歩たりとも足が動かなかった。

俺と真由香が話している隙に、最上が真由香に近づいた。

「最上先生もそれ以上近づかないで」

最上もその場に立ち止まった。

最上は真由香に言葉をかけた。

「真由香、お前死にたいのか」

「そんなことないよ、でも私は癌なんでしょ?どうせ死ぬんでしょ」

「誰がそんなこと言ったんだ」
< 82 / 85 >

この作品をシェア

pagetop