夜明けの贈り物
空は昏く、まだ夜明けは遠い。


雪が静かに舞う夜、バイトから帰宅。急いで部屋をあたためて、熱々のハーブティーを淹れる。香草の香りが心地いい。


座椅子に座ったまま、ぼーっとする。


べつに、今の暮らしに不満があるわけじゃない。それなりに楽しんで、キャンパスライフも謳歌してる。


それでも小夜花(さよか)にとっては毎日ぬるま湯に浸かっているようで。


でも――、何かが足りない。


料理も一緒だ。美味しく出来上がって、食べてくれる人も美味しいと褒めてくれる。それなのに、一味足りない。


それはわかってるのに、その何かがわからないみたいな。


「……洋菓子、買ってこればよかった」


ハーブティーは買い忘れないように必ずストックするのだが、甘いものはついつい忘れてしまう。

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