これはきっと、恋じゃない。
どうして?
――一佳くんとこたくんが、旭羽と同じグループでやってきたから。2人は僕が旭羽の弟だからそう言うんだろうとか、いまの僕と同じ年齢でいなくなってしまったから、同情じゃないけど、重ね合わせてるとかはあるのかもって。
今ならそれが、すごく大きな間違いだとわかるんです。でもそうだと思い込んでいたから、僕は、とにかくなんで王子遥灯なんかがセレピのセンターなんだって思われないように、努力するしかできなかった。旭羽との約束を守るために。でもいつしか、自分が本当になりたいのはなんなのか、なんで努力してまでやってるのかわからないときがあった。
それはいつ?
――高校2年生の春ですね。元々通ってた学校を転校することになったり、今まで一緒にがんばってきた人たちがやめていったり。そういうのも重なって、僕はなんのためにやってるんだろうってほんとに思った。デビューだってできないって。
だからやめようとした。だめですよね、センターまで任されてるのに、やめようとするとか。光も見えない、真っ暗なトンネルに放り込まれた気分でした。でも、こたくんだけがそれに気がついてた。
琥太朗くんが?
――僕の好きなカヌレを買ってきてくれてたり、レッスン終わって家まで送ってくれたり。車の中ではいろんな話をしたな。懐かしい。
そこでずっと思ってた不安をぶつけたら、『遥灯はなにも気にしなくていい。全部守るから、アイドルになればいい』って言ってくれたんです。そこで気持ちが楽になった。
さすが最年長ですね。
――あとはやっぱり、旭羽とやってきたからもあるんだろうな。旭羽と僕、やっぱり似てる部分もあるし、旭羽から僕の話を色々聞いてる部分もあったと思うので。
それじゃあ改めて、デビューが決まったあの瞬間、どうでしたか。
――本当に嬉しかった。やっとか、って思ったし、旭羽との約束を守れて安心しました。なにより、あそこでファンの方と一緒に知ることができてよかった。今まで応援してきてくれた方たちに、嬉しい報告を隠しておく期間がなかったのも嬉しかったです。
デビューが発表されたとき、王子くんは泣いていませんでしたね。
――あはは、そうなんですよね。良い意味だとプロ意識が高いとか言われたけど、悪いと薄情だね、とか。別にプロ意識でもないし、薄情なわけでもなかった。ただ、あそこでは涙が出てこなかった。その理由は自分にもよくわからないです。でも、あとでありえないくらいちゃんと泣きましたよ。
空に向かってのガッツポーズは?
――あんまり記憶ないんですよね。でもあとで映像を見たら、たしかにやってた。旭羽への報告だったんだろうな。デビューの夢は、ずっと旭羽と一緒に追っていたから。
これからどうなっていきたいですか?
――これからかぁ。まずはやっぱり、たくさんの人にセレピを届けたいです。そして、みんなに笑顔や勇気を届けるアイドルになりたい。
苦しいときも辛いときも、セレピがいたから乗り越えられたって思われるような。ありきたりかもしれないけど、そう思います。あと、旭羽に頼らずにひとり立ちしないといけないな。旭羽と一緒に夢を追うのはもうおしまい。これからは遥灯ひとりで、僕だけの夢を追いたいです。
ちなみにその夢は?
――ナイショです。
みなさん気になってると思います。
――じゃあ、特別です。一番はやっぱりセレピを長く続けさせること。僕個人としては、俳優としてもやっていきたい。アイドルだから、みたいな理由でキャスティングされたんじゃなくて、ちゃんと演技力でキャスティングされたんだなってみなさんに思ってもらえるような。あと僕、一応劇団出身ですし(笑)。
なるほど。それでは、最後にファンのみなさんに一言お願いします。
――まずは今まで応援してきてくださってありがとうございます。お待たせしてしまいごめんなさい。でもこれからも、セレピを推してきてよかったと思ってもらえるようにがんばります。
そして、これを機にまだセレピを知らない人たちに、布教してください! これからも応援よろしくお願いします!