これはきっと、恋じゃない。
2.春盛りの秘め事
2年生になってから、2週間が経った。
真悠先輩が言っていたように、さすがに2週間も経てば王子くんに群がる女の子たちは少しずつではあるけれど、減ってきていた。王子くんが男の子たちと一緒に行動するようになってきて、その子たちがどうにかこうにか、女子を取りつかせないようにしているからなのもあると思うけど。
その日、王子くんははじめて学校を休んだ。いろんな子が佐藤先生に理由を質問していたけれど、「仕事らしい」とだけ言って、先生も取り合わなかった。
そんなこんなで、1時間目の世界史の授業が始まる。
「ということで、前回まではささっと概要を説明しました。が、これからは少し違うことをします」
そう言うなり、世界史担当の山田先生はスクリーンに表示されているスライドのページを動かした。そこには、陽気な文字で『世界の歴史を知ろう』と書いてある。
「これから、ペアで各自好きな国の歴史を調べて来てください」
ペア?
それって自由に決めていいのかな。
「ペアは先生が勝手に決めました」
山田先生はレーザーポインターをスクリーンに向ける。ページが次に進むと、表が出てきた。
えーと、わたしは誰とペア、な、の――。
『逢沢-王子』