これはきっと、恋じゃない。
スマホを出して、カレンダーアプリを開く。来週の火曜日、赤字でスケジューリングされている『発表』の2文字。
まだ1週間ある。
……もうあと1週間しかない。
そのとき、立候補しに来た子たちが帰るのと入れ替わりに扉が開いて、ぞろぞろとメンバーが来た。
「おつかれー!」
「お疲れ様です」
あいさつを返しながら、スマホを片づける。
考えたって仕方ないでしょ。とりあえず明日、王子くんと話さないことにはなにも始まらないんだから。
「森山、そこどいて」
「はいはいすみません」
真悠先輩に急かされて森山先輩が立ち上がる。
「やっほー千世ちゃん」
「おつかれさまです、真悠先輩」
「なんかつかれてる? 森山のせい?」
「ちがいます」
どちらかと言えば励まされた。でも真悠先輩には言わない。
「よーし、じゃあそろそろ始めるぞ」
立候補に来る子たちが落ち着いてから、森山先輩の声掛けによって定例会議が始まった。