これはきっと、恋じゃない。


 スマホを出して、カレンダーアプリを開く。来週の火曜日、赤字でスケジューリングされている『発表』の2文字。

 まだ1週間ある。
 ……もうあと1週間しかない。

 そのとき、立候補しに来た子たちが帰るのと入れ替わりに扉が開いて、ぞろぞろとメンバーが来た。

「おつかれー!」
「お疲れ様です」

 あいさつを返しながら、スマホを片づける。
 考えたって仕方ないでしょ。とりあえず明日、王子くんと話さないことにはなにも始まらないんだから。

「森山、そこどいて」
「はいはいすみません」

 真悠先輩に急かされて森山先輩が立ち上がる。

「やっほー千世ちゃん」
「おつかれさまです、真悠先輩」
「なんかつかれてる? 森山のせい?」
「ちがいます」

 どちらかと言えば励まされた。でも真悠先輩には言わない。

「よーし、じゃあそろそろ始めるぞ」

 立候補に来る子たちが落ち着いてから、森山先輩の声掛けによって定例会議が始まった。
< 29 / 127 >

この作品をシェア

pagetop