これはきっと、恋じゃない。
「むりむりむりむり!」
ぼふっと布団に倒れ込む。
もうこの際だから2時間目から行こう。それなら家を出るまであと1時間あるし、優雅に支度ができる。
ある種の悟りに近い感情を抱え、わたしはスマホを手に取り開く。やたらと通知がたくさん来ていた。主にお母さんと、親友である宮本亜子ちゃんからだ。
お母さんからの起きたのメッセージを無視し、亜子ちゃんのトークルームを開く。
『千世遅刻?』
『クラス同じ!4組!』
「お!」
それは良かった!
亜子ちゃんが同じじゃなかったら、わたしは本当に職員室に行って恥ずかしい思いをしないといけないところだった。
本当にありがとう、クラスを考えてくれた先生。
『寝坊したので2時間目から行きます』
そう返信すると、すぐに既読がついて返事が来る。
『うける笑笑』
……そう、うける。この状況。
だってわたし、ほとんど人生で初めて寝坊で遅刻する。
『わたしもうける』
「さて、と」
だからと言って、ここでずっとのんびりしているわけにもいかない。
わたしは身体を起こして、支度に向かう。とりあえず顔洗って歯を磨いて。それから軽くメイクして髪を巻くことにした。
この際だから、やることは全部やって行こう。そう心に決めて、ドレッサーの前に座った。