これはきっと、恋じゃない。


 ――キルギス。

「って、どこ?」
「ロシアの方?」

 いや、ページ的にここはロシアじゃないか。

「あるかな、本」
「とりあえず行ってみようか」

 地図帳を棚に戻して、わたしたちはまた歴史の本がある窓辺に向かう。

「キルギス、キルギス……」

 わたしが本棚を一つずつ見ていくなか、王子くんは窓にもたれかかりながらスマホを触っている。堂々としたサボりだ。まぁいいけど。

「あ、キルギスは中央アジアだね」
「そうなの?」

 前言撤回。サボってたわけじゃないらしい。
 ということは、中央アジアについて書かれた本を探せばいいわけね。

「お、見てこれ」
「なに?」

 王子くんから差し出されたスマホの画面を見る。そこには、男女何人かが笑顔で写っている写真があった。

 ……どう見ても日本人にしか見えない。

「この写真が、どうしたの?」
「この人たち、キルギス人なんだって」
「え!?」

 ぱっと見た感じだけじゃわからなかった。
 この人たちはキルギスの人、と思うと、たしかに違うところも見えてくるけれど……。

「なんでそっくりなの?」
「……それ、調べない?」

 ……たしかに!

「そっか、ただ発表するだけじゃなくて、みんなが興味持ってくれそうでいいかも!」
「よし、じゃあ早速そっちの線で行こう」

 
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