これはきっと、恋じゃない。
――え?
なに、どういうこと?
ざわつく教室を、先生がたしなめる。
「本当は朝イチから仕事だったらしいんだが、発表だけと言ってな。……逢沢も、もう戻っていいぞ」
……なにそれ。
おぼつかない足取りのまま、わたしは席に戻る。
「よし、じゃあ次ー」
次に発表する人たちが教壇に立つ。
セッティングも終えて発表が始まるけれど、何を言ってるのかよくわからない。
どういうこと?
王子くん、発表のためだけに来たの?
大切な仕事を休んで?
だってこんな発表、全然大事なものじゃないのに。
仕事を休んでまで来なくてよかったのに。
頭の中は、王子くんのことでいっぱいだった。