これはきっと、恋じゃない。

「緊張したー!」

 森山先輩のその声に、我に返る。

「おつかれー」
「森山でも緊張すんだね」
「さすがにあんだけ人がいればな」

 香奈先輩と真悠先輩たちが森山先輩を囲むのを、一歩離れて眺める。

「逢沢先輩」

 すっと隣に誰かの気配がした。横を見ると、水野さんがいた。

「どうかしました?」
「……なんでもないよ」

 言えるわけないよ、こんなこと。
 特に、セレピが好きでここを選んだような水野さんには。

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