私だけのヒーロー
私が本庄さんと出会ったのは、高校1年の冬。
学校からバイト先である母の会社『MIZUKI』へ行く途中、男性2人に絡まれていたのを助けてもらったことがあった。
私とぶつかったせいでスマホの画面が割れたのを弁償しろという男達。
確かに肩がぶつかりはしたけど、スマホを落としたわけでもないのに割れるわけがない。
そう反論したくても、相手はガラの悪い男性2人に対しこちらは1人。
怖くて何も言えないまま腕を掴まれてしまった。
見るからにチンピラ風な相手だったためか、私が因縁をつけられているのを通り過ぎる人がみんな見て見ぬ振りをする中、本庄さんだけが足を止めてくれた。
『女子高生相手にみっともねぇな』
コート越しに掴まれた腕の痛みに泣きそうになっていた私を彼らから引き離し、庇ってくれた後ろ姿は今でも忘れられない。