私だけのヒーロー

だけどその2年後、大学を卒業した本庄さんが『MIZUKI』にやってきた時は飛び上がるほど驚いた。

私を助けてくれた憧れのヒーローだった本庄さんと一緒に仕事をするのは最初こそ緊張したけど、4つ年下の私を妹のように可愛がり、時には意地悪くからかってきたりする彼とはすぐに打ち解けることが出来た。

私がバイトで会社に出入りしていた頃はキャラクターショーで一緒の現場になることが多く、『ショーのおねえさん』をやめてしまった時も、とても心配してくれた。

当時、舞台上では子供たちから親しまれやすいよう見た目も子供に寄せているため、髪は黒髪のツインテール、キャラクターがプリントされたパーカーにデニムのミニスカートが定番の衣装。

ショーを終えたあとは、一緒に写真を撮って欲しいと見てくれた親子からお願いされることも少なくない。

ショー自体は著作権の関係で撮影や録音はNGだけど、私との写真なんかで良ければと、ネットにアップはしないように口頭でお願いだけして、ヒーローのパネルと一緒に撮っていた。

あの日もそうやって何事もなく終わるはずだった。

異変に気付いたのは約3年ほど前。ある遊園地でのヒーローショーだった。

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