私だけのヒーロー
親密になればなるほど、彼が仕事を引き受けるのが不安になる。
有言実行の彼は口だけじゃなく、実際に休む間もなく様々な訓練をして着々と実力をつけている。
いつか本当に父を超えるスタントマンになる日がくるかもしれない。
大きな仕事を引き受けるたび、一緒に喜べないなんて嫌だ。
だからこそ、私は彼と一線を引こうと決めたんだ。
熱愛記事に傷付くなんてお門違い。
そう思っているはずなのに、私は零れてくる涙を止められず、ただしばらく俯いていた。