私だけのヒーロー

子供たちと一緒になってショーを盛り上げ、持ち前の明るさで周囲の人間に愛される。

そんなさくらが可愛くて仕方なくて、ついからかうような言動を取れば、口を尖らせて拗ねてみせたり顔を赤くさせたりする姿に愛おしさが増すばかり。

龍二さんのこともあるので急速に距離をつめたりはしなかったものの、彼女が成人すると酒の飲み方を教えるという名目で誘い出し、定期的に仕事終わりに飲む相手というポジションを得た。

ほろ酔いで特撮ヒーローの魅力や、キャラクターショーをより良いものにするためにはどうすべきかと熱く語るさくらは、可愛らしさと同時に仕事に対してのプライドも感じられて、より一層愛おしさが増していく。

しかし、SNS上に彼女の写真付きの記事が拡散されたことがきっかけで、さくらはヒーローショーの舞台に立つことをやめてしまった。

あの一連の記事やネットニュースは、今思い出しても腸が煮えくり返る。

【可愛すぎるショーのおねえさん】と男共を煽るような見出しに、ミニスカート姿のさくらを下からのアングルで写した写真。

コメント欄にはいきすぎた卑猥な言葉も書き込まれ、きっとさくらも目にしてしまっただろう。

< 49 / 73 >

この作品をシェア

pagetop