私だけのヒーロー

そういえば映画好きなのにテレビもない。不思議に思って聞くと、本庄さんが天井を指さした。

「あれ」

彼が指した先を見てみれば、天井にはプロジェクターが取り付けられている。

「え!」
「どうせアクション映画見るなら大画面の方が迫力あっていいだろ」

少年のようなやんちゃな顔で話す本庄さんに呆気にとられる。

いくら外部の仕事を受けているとはいえ、その報酬と『MIZUKI』のお給料だけでこんなところに住めるのだろうか。

疑問に思っていたら、本庄さんがこともなげに答えてくれた。

「学生の頃から株とか投資で稼いでたから。不動産も持ってるし、正直働かなくても暮らせるくらいは余裕ある」

さらっとすごいことを言われて目を見開く。

聞けば彼の父親は会社を経営しているらしく、子供の頃から資産運用のノウハウを叩き込まれてきたらしい。

投資なんかに全く明るくない私でも聞いたことがある会社だったので驚いた。

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