私だけのヒーロー
「偶然さくらと出会って、憧れてた龍二さんと同じ仕事に就いた。いつか、龍二さんのようなスタントマンになりたいとずっと思ってきた」
本庄さんの大きな手が伸びてきて、私の頬に触れる。
「この仕事を続けることで、さくらを不安にさせることもあるかもしれない。今後は、カースタントも積極的に受けようと思ってる」
やっぱりそうなんだ、と納得した。
先日のシーンをやり遂げた本庄さんなら、これからはスーツアクターの仕事だけじゃなく、カースタントのオファーが多数くることは想像に難くない。
それと同時に、今後は、ということは、以前は依頼があっても断っていたということだろうか。
その理由は私が考えているもので間違いないと、自惚れてもいい…?
「あの時言ったとおりだ。お前が信じてくれれば、俺は何だって出来る。だから、ずっと一番近くで見ていてくれないか?」
「本庄さん…」
「さくら、俺はお前が好きだ」
ストレートな告白にハッと息を飲む。
頑なに築いていた壁を溶かすほど彼の視線は情熱的で、私はあっさりその瞳に囚われてしまった。