私だけのヒーロー

「好きです、本庄さん。大好きです」

男性に告白するなんて初めてで、身体がかぁっと熱くなる。

それでも伝えなくては。

「街中で助けてもらったあの時、ヒーローだって思った。うちの会社に来てくれて、一緒に働くうちに、ダメだって思ってたのにいつの間にか好きになってた」

震える声で必死に言葉を紡ぐ。

もっと上手に伝えたいのに、出てくる言葉はひとつだけしかない。

「好きです。ずっとずっと…大好きです」
「さくら。顔見せて」

顔を伏せたまま想いを告げる私の頭上から声をかけられるが、その要求には応えられない。

ただでさえ密着して恥ずかしいのに、この至近距離で顔なんて上げられるわけがない。

「むっ…むりです」

ぶんぶん首を振って抵抗したにも関わらず、本庄さんは背中に回していた腕を解くと、私の顎をつかんであっさりと顔を上げさせ、視線を合わせてきた。

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