私だけのヒーロー
「ははっ、真っ赤」
「いっ、意地悪!だからむりって言ったじゃないですか!」
こっちが必死の思いで告白したというのに、からかってくるなんてひどい。
むっと唇を尖らせると、「話したいことの他にも、説教とお仕置きするって言っといたろ」とニヤリと口角を上げる。
それから、この前現場でされた時よりもしっかりと唇を合わせ、甘いキスを落としてきた。
「ん…っ」
鼻にかかった吐息が漏れてしまい、咄嗟に息を詰める。
それに気付いた本庄さんは、クスッと笑いながらゆっくりと口づけを深めていく。
「可愛い。好きだ、さくら」
「ほ、ほんじょ、さん……」
抱きしめられれば嬉しくて、キスをされれば夢中になり、抱きしめ返すともっともっと幸せになった。
まだお昼の時間帯だというのに、部屋の中には濃密な空気が立ち込める。
ハジメテでもないし、もういい大人なんだから、この部屋に来た以上そんなつもりはなかった、なんて言うつもりもない。