私だけのヒーロー
「さくら。俺は、舞台上で輝いてるお前が好きだ」
極上の笑顔で私の決断を受け入れてくれた本庄さんに、自分からぎゅうっと抱きついた。
「ありがとうございます。本庄さんのおかげです」
「さくらが自分で乗り越えたんだ。お前は強いよ」
大きな手で包み込むように優しく頭を撫でられて、じわりと目頭が熱くなる。
泣きたくなくて唇を噛み締め、努めて明るい声を出した。
「また変なお客さんが来ても、対処出来るように頑張ります」
「今度そんな輩がいたら、俺が完膚なきまでに叩き潰してやる」
「ふふっ。スティール伯爵は強敵ですね」
「でも今は……」
本庄さんは私をソファにそっと押し倒し、ゆっくりと上に覆い被さってきた。
「お前が欲しい」
端正な顔にじっと見つめられながらそんなことを言われて、断れるはずがない。
自分の顔がみるみるうちに真っ赤になっていくのがわかるけど、なんとか頷いた。