好きだけど、好きなのに、好きだから
「優里亜先輩!」

麻衣ちゃんに呼ばれて、ハッと我に返った。

麻衣ちゃんは、私の隣でニヤニヤしている。

どうやら、目で追っていたのを見られてしまったようだ。

「何だか、女の子達可愛そうね……」

「あはは。佐伯は、中学の時からあんな感じです」

私が女子にデレデレする誠を見慣れているように、麻衣ちゃんにとってはこれが中学から見慣れた佐伯君なのかもしれない。

「女子にっていうか……バスケ以外に興味なし」

やっぱり、クールじゃなくて無関心だったのか……

「あいつのどこがいいんですかね?」

麻衣ちゃんは首かしげた。

「無愛想で無口だし。そのくせ嫌なことは、はっきり嫌だっていうし」

「麻衣ちゃん?中学の後輩なんだよね?」

あまりの言いように、中学の後輩であることを改めて確認してしまった。

「はい。それにすっごい生意気ですよ」

麻衣ちゃんは、ケラケラと笑っている。

この時は、冗談半分で聞いていた私だったけど──
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