好きだけど、好きなのに、好きだから
座っている俺と立ち膝をした優里亜先輩の目線は同じくらいの高さだ。

自然と先輩の顔が目に入る。

大きな目に長いまつげ。

色白で、うっすらと赤い頬。

先輩は、そんな俺の視線を気にも留めず黙々と処置を続けている。

「痛くない?」

先輩は、優しい目で話しかけてくる。

「うっす」

直視できなくなって、俺は視線を下にずらした。

「はい、おしまい!」

「どうもっす」

「二人とも、怪我には気を付けね」

先輩は救急箱を抱えて、戻っていった。
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