好きだけど、好きなのに、好きだから
俺は、課題のノートを鞄に入れて部室を出た。

思った通りの人。

帰り道、俺は先輩を初めて見た日のことを思い返していた。

先輩は俺と会ったのが、先輩の外したシュートをダンクした日だと思ってる。

でも、俺が初めて先輩を見たのは去年の六月。

インターハイ予選の最終戦の日だった。

俺は、大さんに言われてその試合を見に行っていた。

試合は、中盤から段々と点差が開きワンサイドゲーム。

前半が終わって、30点の差が付いた。

その苦しい展開に、藤森北のコートもベンチも諦めムードだった。

だけど、その中で一人だけ必死に声を出して応援している人がいた。

それが、優里亜先輩。

この人だけは、まだ諦めてねぇって思った。
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