好きだけど、好きなのに、好きだから
ジャージ

佐伯君のジャージ

気付くと私は、日誌を書いている途中で眠っていた。

ん?

肩に目が行った。

私の肩からジャージが掛けられてある。

部活の格好のままだったから、誰かが掛けてくれたのだろう。

誰かな?

腕の位置にある刺繍を確認する。

佐伯君のジャージ!

寝起きのせいか頭が追い付かない。

どうして、佐伯君のジャージが……

私は驚いている。

女の子には、いつも冷たいし。

笑い掛けても、無表情だし。

自分から話し掛けてくることは、ほとんどないし。

口数の少ない彼は、何を考えてるのか良くわからないし。

考えれば考えるほど、佐伯君がそんなことするなんて意外だった。

掛けてくれたジャージは、とても温かい。

私は、そのジャージを羽織ながら残りの日誌を書き上げた。
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